CASE003 ブラケットライト|構造を考え直す
Product Labは、
YARNの商品がどのように生まれたのかを記録する場所です。
お客様との会話や現場で見つけた課題が、一つの商品になるまで。
その過程をCaseとして残しています。
01|見えていたのは、デザインより「取り付け方」だった
ブラケットライトを探していたとき、気になったことがありました。
市場にあるものの多くは、金具やネジなど、壁への取り付け方法が外観の形状に現れていました。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、もっと構造を見せずに、シンプルにつくる方法はないだろうか。
そんなことを考えていたとき、オネジの付いた陶器製ソケットを使い、本体そのものをねじ込んで取り付けるブラケットライトを見つけました。
コンクリートや金属でつくられた、とてもシンプルなものでした。
02|だったら、木でもできる。




この構造を見たとき、ひとつ疑問が浮かびました。
「これを木でつくったら、どうなるだろう。」
当時見かけたものは、コンクリートや金属でつくられた、シンプルで無機質なものでした。
構造としてはとても合理的です。
でも、この構造を木に置き換えれば、同じシンプルさを保ちながら、もう少しやわらかな表情にできるのではないかと考えました。
陶器製ソケットのオネジに対して、木部側にメネジを設ける。
そうすれば、余計な金具を表に出すことなく、木の本体そのものを取り付けることができます。
構造はとても単純です。
でも、その単純さが、後にこのブラケットライトの大きな特徴になっていきました。
03|数年後、自宅で意味を知る。

最初から、「交換しやすい照明をつくろう」と考えていたわけではありません。
その意味に気づいたのは、それから数年後のことでした。
自宅に取り付けてあったブラケットライトを交換しようとしたところ、簡単には交換できませんでした。
壁に固定された照明は、本体を変えようとすると電気工事が必要になり、場合によっては壁の補修まで必要になります。
そのとき思いました。
「自分が考えていたブラケットライトを、もっと早く商品にしていれば。」
木部だけをねじって外し、別のものに交換できる。
最初は外観をすっきりさせるために選んだ構造が、結果として「照明を着せ替える」という別の価値を持つことに気づきました。
04|ひとつの構造から、5つの照明へ。



そして、この構造にはもうひとつ面白いところがありました。
木部を変えるだけで、照明の表情を変えられることです。
当時見かけた同じような構造のブラケットライトは、一つの形だけでした。
それなら、この構造を共通にして、木部の形を変えてみよう。
円盤、筒、スポット、籐を組み合わせたもの。
思いつくままに試していくうちに、5種類のブラケットライトが生まれました。
ソケットと取り付け方法は同じ。
違うのは、その先の形です
05|交換する照明から、残していける照明へ。

一般的なブラケットライトは、デザインを変えようと思えば照明器具そのものを交換します。
YARNのブラケットライトは、壁側のソケットを残したまま、木部を交換できます。
ひとつの構造を永く使いながら、形だけを変えていく。
開発当初からすべてを計画していたわけではありません。
シンプルな構造を選んだことが、結果として、交換しやすさやバリエーションにつながりました。
構造をシンプルにすることは、見た目をシンプルにするだけではありませんでした。
06|このCASEが教えてくれたこと
このブラケットライトは、最初から「着せ替えられる照明」をつくろうとして生まれたものではありません。
きっかけは、既存のブラケットライトを見ていて、取り付けのための金具や構造が外観の形状に現れていたことへの小さな違和感でした。
オネジの付いた陶器製ソケットを利用すれば、余計な金具を表に出さず、もっとシンプルにつくれる。そして、当時見かけなかった木という素材でそれをつくってみる。
始まりは、それだけでした。
ところが、シンプルな構造にしたことで、木部だけを取り外せるようになりました。数年後、自宅のブラケットライトを交換できなかった経験から、その構造が「見た目をすっきりさせる」だけではなく、「照明の一部だけを交換できる」という別の価値を持っていることに気づきます。
さらに、同じソケットと取り付け方法を使いながら、木部を変えることで異なるデザインをつくることもできました。ひとつの構造から、現在の5種類へと広がっていきました。
このCASEから学んだのは、最初からすべての価値を考え切る必要はないということです。
ひとつの違和感に向き合い、構造をできるだけシンプルに考える。その結果、最初には想像していなかった使い方や展開が生まれることがあります。
合理的な構造と、木のやわらかな表情。その二つを両立できたことも、その後のYARNのものづくりにつながっています。
「構造を考えることは、形をつくることだけではなく、その先の可能性をつくることでもある。」
ブラケットライトは、そのことをYARNに教えてくれた商品です。
このCASEから生まれた商品
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07|開発メモ
Development Note
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発年 | 2021年 |
| 開発のきっかけ | 取り付け構造が外観に現れたブラケットライトへの違和感 |
| 当時の課題 | オネジ付きの陶器製ソケットを利用したシンプルな構造のブラケットライトは存在していたものの、
見かけたものはコンクリートや金属製。 木製のものは見当たらなかった。また、同じ構造を利用したデザインのバリエーションもほとんどなかった。 |
| 技術課題 | 陶器製ソケットのオネジを利用しながら、木部を直接、安定して取り付けられる構造にすること。
外から余計な取り付け金具が見えない状態で成立させること。 |
| 採用した構造 | オネジ付き陶器製ソケットに対して、木部側に対応するメネジを設け、木部そのものをねじ込んで固定する構造。
共通の取り付け構造を使うことで、木部だけを交換できるようにした。 |
| 現在 | 共通構造をベースに5種類のブラケットライトへ展開。
開発後、自宅のブラケットライトを簡単に交換できなかった経験から、 木部だけを交換できる構造が「着せ替え」という新たな価値を持つことにも気づいた。 |